家族に財産を残す「家族信託」について

家族信託とは?

平成19年からスタートした、比較的新しい制度として知られているのが、家族信託です。

家族信託とは、遺言制度や後見制度と合わせて利用できる制度の1つで、家族に自身の財産を遺す際、出来るだけ相続者である本人の希望も聞いた上で相続できるように、生前に決められる仕組みになります。

例えば、年金信託や財産信託など、現状銀行や国と本人がやり取りをしている財産の部分に関しても、家族信託を行っておくことで、スムーズに手続きが可能です。財産管理に必要な手間を省けると共に、各種管理権や、非常に応じて物件の再契約など、様々な部分の取引、手続きをしやすくなる、非常に便利な制度として知られています。

手続き方法は?

ポピュラーな手続き方法として挙げられるのが、委託者と受託者によって契約書を結ぶ、信託契約です。

委託者は財産を遺したい人、受託者は財産を受け取る人や、特定の人間に変わって一旦財産を預かる人のことを指しますが、適切な契約書の元、双方合意の上で契約を交わせば、契約完了になります。

他にも、委託者の遺言によって信託契約が結ばれる場合もあるでしょう。大手銀行とこちらのタイプの手続きを行っている方も多く、財産管理の手間を軽減出来る方法として重宝されています。このように、契約そのものは意外と簡単に結べますので、自分で合っている方法を選ぶ事で、手軽に家族信託を利用する事が可能です。

家族信託のメリットとデメリット

家族信託のメリットとして、財産管理が簡単になると共に、遺言書だけでは難しい様々な手続きを利用できる点が魅力です。

また、遺された家族同士のトラブルを軽減し、紛争問題の予防にも最適な点がメリットと言えるでしょう。更に家族信託では、教育資金の一括贈与が1500万円まで可能、二次相続や、倒産隔離機能までありますので、何かと使い勝手が良い点が特徴です。

反対にデメリットとしてあげられるのが、高い節税効果は無いと言う点になります。生前贈与とは少し異なりますので、相続税は同じようにかかると共に、遺留分減殺請求の対象となる場合もあるでしょう。

家族信託をスムーズに行う方法

家族信託を円滑に行う方法としては、相続する必要のない財産は早めに処分をすることです。

例を挙げれば、古くなった空き家や再建築不可の物件といった不動産は利用価値が低く、相続する必要性があまりない財産と言えるでしょう。このような財産を家族信託や遺言という形で受託者に残し、結局扱いに困ってしまうケースが少なくありません。

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  • 家族信託を導入する際は、先に挙げたメリットとデメリットを踏まえて、利用するかどうかを検討する事が大切です。